相続分
目次
相続分
それぞれの相続人が相続財産に対して持っている権利の割合(持分の割合)を相続分といいます(899条)。被相続人の意思に基づく割合である指定相続分(902条)と、民法で定められた法定相続分(900条)があります。
法定相続分
法定相続人は、①配偶者と、②血族相続人(子、親、兄弟姉妹)です。
- 配偶者は必ず相続人となります。被相続人に直系卑属、直系尊属、兄弟姉妹がいない場合は、配偶者だけが単独の相続人となります。
- 血族相続人には相続人となれる順番があります。順番が先の血族相続人がいる場合、順番が後の血族相続人は、相続人にはなれません。その順番は、子→親→兄弟姉妹です。
同順位の相続人が複数いる場合は、同順位の相続人同士は均等に分けます(900条4号)
民法が定める法定相続分について、具体的なケースでご説明します。
-
被相続人に、配偶者Aと子Bがいる場合(民法900条1号)
配偶者の相続分は2分の1、子の相続分は2分の1です。
子が二人いる場合(子Bと子Cがいる場合)、相続分は、配偶者Aが2分の1、子BとCが4分の1ずつです(900条4号)。 -
被相続人に、子はおらず、配偶者Aと父親Bがいる場合(民法900条2号)
配偶者の相続分は3分の2、父親の相続分は3分の1です。
父母がいる場合(父Bと母Cがいる場合)、相続分は、配偶者Aが3分の2、父Bと母Cが6分の1ずつです(900条4号)。 -
被相続人に、親と子はおらず、配偶者Aと兄弟姉妹Bがいる場合(民法900条3号)
配偶者Aの相続分は4分の3、兄弟姉妹Bの相続分は4分の1です。
兄弟姉妹が二人いる場合(兄Bと姉Cがいる場合)、相続分は、配偶者Aが4分の3、兄Bと姉が8分の1ずつです(900条4号)。 -
被相続人に、半血兄弟がいる場合(民法900条4号)
被相続人と、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹を、半血の兄弟姉妹といいます。
半血の兄弟姉妹の相続分は、全血の兄弟姉妹の相続分の半分とされています。
被相続人に配偶者Aと、全血の兄弟B、半血の兄弟Cがいる場合は、Aの相続分は4分の3、Bの相続分は6分の1、Cの相続分は12分の1です。
代襲相続
相続開始時に、相続人となるべき子や兄弟姉妹が死亡している場合、孫や兄弟姉妹の子が相続人となります。これを代襲相続といいます。代襲相続があった場合は、代襲相続人の相続分は被代襲者の相続分と同じです(901条1項)。代襲相続人が複数いる場合は、各代襲相続人の相続分は、被代襲者の相続分を均等に分けることになります。
具体的には 被相続人に、配偶者Aと子Bがいるが、子Bは既に死亡しており、孫Cがいる場合、Cは代襲相続人となり、相続分は、配偶者Aが2分の1、孫Cが2分の1です(900条4号)。孫Cのほかに孫Dもいた場合は、CとDの相続分は4分の1ずつとなります。
指定相続分
被相続人は、遺言によって、相続人の相続分を指定することができます(民法902条1項)。また、遺言によって、相続分の指定を第三者に委託することもできます。
相続分の指定の方法は様々であり、例えば、相続人がA、B、Cと3人いるときに、
- Aに遺産の5分の3、Bに遺産の5分の1、Cに遺産の5分の1と指定する。
- Bに遺産の3分の1を与える。
- Cに土地を相続させる。
といった方法で指定することができます。
ただし、①、②の遺言は割合的包括遺贈、③の遺言は、相続分指定を伴わない遺産分割方法の指定や特定遺贈と解釈される可能性もありますので、遺言の趣旨に注意を払う必要があります。