コラム

遺言の方式 ③秘密証書遺言

弁護士 幡野真弥

 今回は、秘密証書遺言についてご説明します。
 秘密証書遺言とは、遺言者が遺言の内容を秘密にして遺言書を作成したうえで、封印をする方法で作成する遺言書です(970条)。

 秘密証書遺言の作成には、公証人の関与が必要です。秘密証書遺言は、公正証書遺言と同じく、専門家である公証人が関与するため、他人による偽造のおそれを減らすことができます。
 遺言があることを相続人に明らかにしつつ、遺言の内容は秘密にできる点が、公正証書遺言とは異なります。

 秘密証書遺言の方式は、以下のとおりです。
■遺言者が遺言内容の記載された証書に署名押印すること(970条1甲1号)
 自筆証書遺言の場合と違い、自署する必要はなく、パソコンで作成したものや他人が書いたものでも可能です。また。証書中に日付を記載する必要はありません。

■遺言者がその証書を封じ、証書に用いた印章を使って封印をすること(970条1項2号)

■遺言者が、公証人1人及び証人2人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨と、その筆者の氏名・住所を申述すること(970条1項3号)

■公証人が、その証書を提出した日付と遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者および証人とともにこれに署名押印すること(970条1項4号)