遺産分割の当事者
弁護士 幡野真弥
遺産分割は、相続人全員で行う必要があります。
遺産分割の当事者は、法定相続人(以前コラムでご説明しました)のほか、相続分の譲受人(民法905条)や包括受遺者(990条)、遺言執行者です。
胎児がいる場合は、胎児にも相続能力がありますので(886条)、通常は胎児の出生を待って遺産分割を行います。
相続人の一部が行方不明の場合は、請求により、家庭裁判所が不在者財産管理人を選任して、遺産分割を行うこととなります。
遺産分割の当事者全員ではなく、一部の当事者を除外して行った遺産分割は無効となる考えられています。ただし、相続開始後に認知により新たに共同相続人となった者がおり、既に遺産分割が終わっている場合は、遺産について、分割をやり直すのではなく、価額による支払の請求(910条)で解決することとなります。
相続人でない者を遺産分割の当事者としてしまった場合の遺産分割も、無効となるという考えもありますが、いくつかの裁判例は、 相続人でない者を遺産分割の当事者としてしまった場合の遺産分割は、遺産分割全部を無効とするのではなく、原則として、相続人でないとされた者に対する分割の部分だけが無効となり、当事者でない者に分割された財産を、相続人で再分割する(ただし、特別の事情がある場合には、全部無効とする)ことと判断しています。