遺産分割方法の指定
弁護士 幡野真弥
被相続人は、遺言で、遺産分割の方法を定めることができます(908条)。
この遺産分割方法の指定には、いくつか種類があります。
1つ目は、法定相続分の範囲内で、相続財産を、相続人の間でどのように配分するのかについての方法(現物分割、換価分割、代償分割)について、指定するものです。
例えば、「不動産を売却の上、売却代金を法定相続分に応じて取得させる」というような遺言です。
2つ目は、相続分の指定を伴う遺産分割方法の指定です。
例えば、遺産が3000万円ある場合、子Aと子Bがこれを相続したところ、「(2000万円分の価値がある)甲不動産をAに取得させる」というような遺言です。遺言により、遺産の分割方法の指定をするだけでなく、法定相続分を超える相続分の指定がなされています。
3つ目は、特定の財産について、その相続先を指定するものです。
例えば、「甲不動産をAに、乙不動産をBに相続させる」というものです。
「相続させる」旨の遺言(特定財産承継遺言)は、これが遺産分割方法の指定なのか、遺贈なのかが問題になっていましたが、判例(最判平成3年4月19日)は、原則として、遺産分割方法の指定だと判断しました。