コラム

特別受益となる財産の評価の基準時

弁護士 幡野真弥

 具体的な相続分を算定するには、相続財産の価額に、特別受益である贈与の価額を加算する(持ち戻す)必要があります。

 それでは、贈与された財産をどのように評価して、相続財産に持ち戻せばよいのでしょうか。不動産などは、贈与から相続発生まで時間が経過しており、どの時点を基準とするかによって、価額が変動することがあります。

 贈与を持ち戻す場合、加算する贈与の価額は、相続開始時の価額で評価されます。
 具体的には、贈与された財産が金銭である場合には、贈与時の金額を、相続開始時の貨幣価値に換算します。
 不動産や動産の場合も、相続開始時の価額に換算します。

 贈与を受けた不動産や動産について、贈与を受けた相続人が転売していたような場合や、滅失させてしまった場合でも、そのような変化は考慮せず、相続開始時点での価額に換算して評価します(904条)。