遺産分割協議の無効・解除
弁護士 幡野真弥
一度成立した遺産分割協議であっても、以下のような事由があると、無効となることがあります。
■相続人の全員ではなく、一部の相続人のみで遺産分割をした場合
■遺産分割方法を指定した遺言の存在を知らずに遺産分割協議をした場合(最判平成5年12月16日)
■誤った説明により、本来の5分の1程度の額を取得することになった遺産分割協議をした場合(東京地判平成11年1月22日)
なお、遺産分割の協議にあたって、共同相続人のうちの1人が、他の相続人に対して債務を負担する内容で遺産分割をすることがあります。共同相続人が約束を守らず、この債務を履行しなかったとき、もともとの遺産分割協議を解除することができるかという問題について、判例は、遺産分割協議の解除を認めていません(最判平成元年2月9日)。もっとも、遺産分割協議が成立した後に、共同相続人全員がこの分割協議を解除し、再分割することは可能です(最判平成2年9月27日)。