特別受益者の範囲
弁護士 幡野真弥
相続人に対する贈与や遺贈が、特別受益の問題になります。
なお、相続放棄をした場合は、相続人ではなくなりますので、相続放棄をした人に対する贈与や遺贈は、特別受益の問題にはなりません。
■相続人の配偶者や子に対する贈与・遺贈
原則として、特別受益に該当しません。
ただし、実質的に相続人に対して直接贈与・遺贈されたと同一視できるような特別の事情がある場合は、例外的に特別受益に該当することがあります。
■被代襲に対する贈与・遺贈
親Aが子Bに対して贈与・遺贈をした後に、子Bが死亡し、その後に親Aが死亡して子Bの子C(孫C)が代襲相続した場合は、諸説ありますが、特別受益に当たると考えられます(福岡高裁平成29年5月18日判決)。
■代襲者に対する贈与・遺贈
親Aが孫Cに対して贈与した後に、子Bが死亡し、その後に親Aが死亡して、孫Cが代襲相続した場合は、諸説ありますが、原則的には特別受益に該当しないとしつつ、相続分の前渡しと評価できるような特段の事情がある場合は、持戻しの対象となると判断した裁判例があります (福岡高裁平成29年5月18日判決) 。