解決事例

各相続人の意思確認、利益調整により公正証書遺言に基づく相続手続きが実現した事例

事案の概要

被相続人の公正証書遺言が存在していたが、各相続人の希望もあり、当該遺言内容とは異なる相続をするべく、相続人同士で話し合いを続けていたが、話し合いが長期間滞る事態となり、困った相続人のお一人からご相談を受けました。

本件では、公正証書遺言が存在し、遺言執行者も指定されていました。しかし、遺言に特殊な内容が含まれていたこともあり、各相続人として、公正証書遺言通りに相続した後の懸念事項があったり、別の希望があったりしたため、話し合いは混乱していきました。さらに遺言執行者は専門家ではなかったために、遺言執行者主導で話し合いや手続きを進めることも難しい状況になってしまいました。

その結果、話し合いは滞り、長期間話し合いの機会すら持てない状況となり、これ以上はご本人同士で話し合いを続けることは難しいと判断して、ご相談にいらっしゃいました。

結論

当職がご相談者様の代理人となり、まずは、状況整理とご相談者様の希望の確認、さらに、公正証書遺言通りの相続手続きを実施することに各相続人が抵抗を感じている理由を過去のやり取りなどを確認しながら分析しました。

その上で、各相続人と連絡をとり、公正証書遺言の内容と異なる内容の相続を実現すべく合意することができる可能性があるのかを探りました。

結果、各相続人の希望を実現する内容で別途合意をすることは難しいことが判明し、結局のところ、各相続人の不安を払拭しつつ、公正証書遺言通りの内容で相続手続きを進めるほかないという状況であることがわかりました。

そのため、各相続人に状況を説明し、相続手続きをした後の懸念事項を払拭するべく必要な説明、他の専門家との調整を行い、最終的に公正証書遺言通りの相続手続きを進めて、終了となりました。

本件のように遺言が存在しているにもかかわらず、各相続人の異なる希望が出てきてしまい、相続手続きがスムーズに進まないというケースは珍しくありません。

特に本件の公正証書遺言のように特殊な内容が含まれており、遺言執行者も専門家ではないとなると、各相続人の利益調整や手続きを主導する人が事実上いなくなってしまいますので、話し合いは滞りがちです。

遺言が存在しているのに、もめているケースでは、各相続人の希望を正確に把握し、もめている原因を分析したうえで、遺言と異なる内容を実現することが可能か否かを早急に判断することが重要になります。このようなケースで本人同士の話し合いを無理に続けると、関係性はこじれる一方となります。早めに一度ご相談ください。