遺産分割 解決の流れ
弁護士 幡野真弥
遺産分割の手続きの流れは、おおまかに、
①遺言書があるかどうかの確認→②相続人の範囲と、遺産の範囲の確定→③遺産分割協議→④遺産分割調停・審判という流れで進みます。
①まず、相続人が遺言書を残していないかどうかを確認します。
公正証書遺言や法務局に保管されている自筆証書遺言は、相続開始後であれば、公正証書役場や遺言書保管所に問い合わせれば、確認ができます。
公正証書遺言や法務局に保管されている遺言以外に(例えばご自宅や金庫内などに遺言があるとき)、遺言は開封せずに家庭裁判所に検認の申立てをする必要があります。
被相続人の遺言がある場合で、特段の問題がなければ、遺言の内容に沿って遺産を分割します。
遺言の内容が、特定の相続人の遺留分を侵害する内容であり、特定の相続人にその意思がある場合は、遺留分侵害額請求をすることとなります。また、遺言の有効性について問題がある場合は、遺言の有効性を争う裁判をすることとなります。
なお、相続人全員の協議により、遺言書の内容とは異なる内容で遺産を相続することもできます。
②遺産分割協議は相続人全員で行う必要がありますので、相続人の戸籍をさかのぼって相続人の範囲を確定する必要があります。また、分割する遺産に漏れがあり、後から新しい遺産が見つかると、再度、遺産分割協議を行う必要が出てきます。そうすると新たな紛争になってしまう可能性もありますので、遺産に漏れがないか、遺産の範囲も確定します。
③遺言がない場合は、相続人全員の協議が成立すれば、遺産分割協議書を作成し、遺産を分割します。
この協議のなかで、寄与分や特別受益、遺産の評価について話し合います。最終的に協議が整った場合、遺産分割協議書を作成します。このとき後々の紛争が生じないように、注意して遺産分割協議書を作成する必要があります。
④遺産分割協議が成立しない場合は、家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てます。
調停を通じて、相続人で遺産分割について話し合いを行うこととなります。家庭裁判所での話合いの結果、合意に至れば、調停が成立します。
遺産分割調停でも調停が成立しない場合は、家庭裁判所により、遺産分割の審判が出されます。この審判について不服がある場合は、即時抗告を申し立て、高等裁判所で判断がなされます。
高等裁判所の審判について、最高裁判所に抗告を申し立てることもできますが、抗告理由が限定されているため、現実的には難しいケースがほとんどです。
このように、遺産分割は最終的には裁判所の判断により解決します。